保険の掛けすぎは社会の損失

子供の時に、祖父に「保険は死に金。どうしても入るならば必要最低限の掛け捨てにしろ。」と言われたのが、今でもとても印象に残っています。当時子供なりに変わった祖父だと思ってはいましたが、今考えても子供にそんなことを子供に教えるのは、やはり変わってますね(笑)

保険というものは、流動性が少なく、リターンの期待値がマイナスであるという点で「死に金」です。期待値の観点では、賭博と同じで基本胴元に抜かれる構造になってますが、それを意識した上で保険を購入している人は意外と少ない。

保険に限らず、人間というのはこの期待値に基づいて行動するのが意外と苦手らしくなんらか偏った行動をとる傾向にあります。その中でも、特に日本人に特徴的なのがリスクを避ける傾向です。リスクを避けたいために、多くの人が期待値がマイナスの行動をとった場合、全体としてどのようになるでしょうか?

当たり前ですが、全体としてもマイナスとなります。

リスクに対する保険のかけ過ぎは、本人にとっても損ですし、社会にとっても大きな損失です。少子化にせよ、不況にせよ、今の日本の経済的、社会的問題の多くは、日本社会全体における期待値マイナスの意思決定の多さに起因していのではないでしょうか。

こういった流れを変えるには、私たち自身が物事の見方と変え、リスクを恐れず期待値がプラスとなる行動をとっていく必要があると思います。日本のトップクラスの大学の優秀な学生たちと話をしていると、意思決定の根本に「多少妥協をしても、大きな失敗をしない」という考え方の人が多いのはそのような意味でとても残念です。

大企業=安全という神話が崩壊してしまった今日においては、個々人の力こそが一番の保険です。そして、若いということは何度もチャレンジができる、つまり統計的に期待値に収束しうる試行回数がある、ということです。

優秀であればあるほど、若い時から自分で起業をするなりベンチャーに入るなり、たとえ失敗するリスクがあったとしても、大きな成功に向けて挑戦できる環境に身を置いて欲しいと思います。